糖尿病の方が心電図を取りに来ました。
症状は、「一昨日の夜胸が痛いような気がした。今は、全く感じない。」
心電図を取ると、ST上昇、トロポニンT陽性
心筋梗塞真っただ中。
すぐ、その場で心エコーもしましたが、前壁と下壁がasynergy(アシナジー)あり。
心臓の動きが悪くなっていました。
車いすを準備して、即入院です。
本人は、「えー。車いす乗るの?嫌だなぁ。」
すごく、余裕そう。
目次
― 糖尿病は、痛みに鈍い ―
糖尿病の患者さんは、医療業界では、痛みに鈍いという認識があります。
糖尿病の方は、症状が進むと、神経障害を起こします。
※国立国際医療研究センター 糖尿病センターより抜粋
痛みに鈍い=危険が察知できません。
心筋梗塞という病気は、大事な症状の一つに「胸痛」というものがあります。
その胸痛があると、患者さんは違和感を感じ、病院に来ることができます。
そして、医師もその症状を確認し、心電図の依頼を出し、すぐ確認をすることができます。
しかし、その胸痛という症状を感じ取ることができないと、病院に来るタイミングを逃しますし、医師も気づくことができません。
〇 心筋梗塞 なぜ痛いのか
じゃぁ、そもそも心筋梗塞は、なぜ痛いのでしょうか。
簡単に説明。
心臓とは、体内にある血液を循環する役割を持っています。
「体内のポンプ」有名な話です。
でも、実は、心臓自身がポンプとして動くためにも、心臓の周りに存在する細い血管からエネルギーを貰っています。
その細い血管を冠動脈といいます。
そりゃ、心臓も身体中に血液を送る大変な仕事をしてるわけなんだから、ただ働きってわけにはいかないのです。
そのエネルギーを貰うための冠動脈が、「詰まる」ことでエネルギーが送られなくなります。
エネルギーの供給が無くなれば、誰だって、辛いでしょ?働きたくなくなるでしょ?
「きゃーっ!やめてーっ!!」
ってなって、心臓が悲鳴をあげます。
それで、胸が苦しくなったり、痛くなったりします。
それが、心筋梗塞です。
〇 心筋梗塞 すぐ治療すれば復活。
心筋梗塞は、すぐの処置が大切です。
だから、すぐに痛みを感じ取って、早急の対応をすることが大切なのです。
詰まった冠動脈という細い血管の詰まりを取ってあげます。
すると、心臓は復活!活動を開始します。
しかし、
長い間詰まらせておくと、心臓にエネルギーが送られない状況が続きます。
すると、
心臓の筋肉が「死んでしまします。」
例えば、①~③までの冠動脈があるとしましょう。
①の冠動脈は(1)エリアの心臓の筋肉にエネルギーを送っています。
その冠動脈①が詰まり放置しておくと、(1)エリアの筋肉がだんだん死んでしまいます。
(1)君は「なにそれ?エネルギーくれなきゃ、動けねーよ。」ってなります。
①冠動脈の詰まりをすぐとって、エネルギーを供給できるようにしてあげれば、(1)くんは働きだします。
しかし、(1)くんにエネルギーを与えず、死んでしまったら、
もう、二度と這い上がれないのです・・・。
だから、すぐの治療が大事。
つまり、胸痛を感じ取る患者さんの症状がとても大切なんです。
〇 心筋梗塞になっても心臓は優秀
これまでに、心筋梗塞を患た方はこれを見ると驚いたかもしれませんが、
安心してください。
あなたの心臓ちゃんと頑張ってます。
(1)くんは死んでしまったかもしれないけど、(2)エリアと(3)エリアが(1)くんを補うために頑張って動いてくれています。
①の冠動脈が詰まったら、②の冠動脈がニョキニョキと手を差し伸べることもあります。
心臓はとっても優秀な臓器です。
他がサボっても、他が補う力があります。
厳密にはそれだけではありませんが、それくらい人体の臓器たちは優秀なんです。
すごくない?
他の不手際をみんで協力して補う。
世の中で一番馬車馬のように働いているのは、臓器や細胞たちかもしれませんよ。
目的はただ一つ。
「この生命体を少しでも、長生きさせるため。」
立派だ。
― 心筋梗塞は痛みの症状が大切 ―
前述でも示した通り、
早期治療に有用性があるから、
胸痛の症状が大切
になります。
私自身心筋梗塞を経験したことがないので、わかりませんが、
相当痛いらしいです。
心筋梗塞を経験した方に話を聞くようにしてますが、
「夜中、痛くて起きた。」
「散歩中、うずくまって、歩けなくなった。」
「突然痛くて、喋れなくなった。」
しかし、糖尿病の人は気づかない人もいるようです。
無痛性心筋梗塞
こういう言葉があります。
ここでは、糖尿病を例に挙げましたが、
糖尿病ではないのに、感じ取れない方もいます。
我慢できちゃう人もいます。
痛みを感じたら、迷わず素直に受診してください。
いいんです。大丈夫だったらそれはそれで。
お金はかかっちゃうかもしれないけど、命には代えられません。
そして、無痛性心筋梗塞は、見つけられません。
つまり、
定期健診で見つけるしかないです。
遅かったとしても、、心筋が死んでしまっていることに気づくことができれば、
他の(2)エリア(3)エリアを守るための対策が取れるんですから。
定期健診侮るべからず。