― 二級検査士って知ってますか? ―
臨床検査技師には、合格後も資格試験の種類がたくさんあります。
超音波検査士、認定心電技師、緊急検査士、臨床検査士(二級検査士、一級検査士)などなど・・・。
受験するものによって、入らなければいけない学会などもあります。ご注意ください。
その中で、検体系の資格試験(臨床検査士)として、緊急検査士以外に、二級検査士というものもあります。
【二級検査士】とは、
病理学・血液学・循環生理学・呼吸生理学・微生物学・臨床化学・免疫血清学・神経生理学のいずれかの科目の検査につき、所定の資格試験に合格された人が取得できる資格です。
日本臨床検査医学会と日本臨床検査同学院が認定をした者で、寄生虫学・臨床化学・免疫血清学・微生物・病理学・血液学・生理検査が臨床検査室において医師の指示を下に正しく検査を行える者。
とされています。
今回は、二級検査士の(血液学)を受験した友人の話を参考に筆記試験と実技試験をまとめてみました。
これから二級検査士を受験する際には、参考にしてみてください。
わたしは、緊急検査士や超音波検査士を受験しました。もし、他にも興味がありましたら、よければ、こちらも見てみてください。
― 二級臨床検査士(血液学) 資格認定試験の内容とは ―
二級検査士(血液学)の試験日は2日間に分かれております。
1日目:筆記試験+実技(形態)試験
2日目:実技試験
それぞれの項目にて、すべて平均的にできる必要があり、「優・良・可・不可」で判定されます。不可が1つでもあると、不合格のようです。
苦手なものを補うという行為はできません。すべてを網羅する必要があります。
- 筆記試験:優~不可で判定
- 血球計数検査:優~不可で判定
- 採血手技、血液塗抹標本作成と染色:優~不可で判定
- 血球形態検査:優~不可で判定
- 凝固線溶検査:優~不可で判定
と、されます。
緊急検査士と違う点は、それぞれの実技中に、口頭試問があることです。
口頭試問は対人です。いじわるな人もいるかもしれません。
試験監督の期限を損ねないようにしましょう。
【試験概要】
- 1次受付:12月下条~1月中旬
- 希望者が多い場合は、抽選を行い、抽選を通った者のみ、受験可能。
※辞退者もいたり、全国で実施する会場に空きがある場合は、再度申し込みが可能となる。そのため、ホームページのお知らせを定期的に確認しておいてください。
- 受験料支払:27,500円 (これも、たっか・・・。)
- 願書提出:2月中旬まで
- 試験日:6月~8月の土、日曜
【合格率】
約60~70%程度のようです。
〇 一日目:筆記試験 + 実技(形態)試験
・筆記試験(選択式マークシート) + 実技(形態)試験
選択式マークシートの筆記試験に対しては、過去問が本として日本臨床検査同学院から販売されています。
● 実技試験(形態)
実技(形態)と記載がありますが、実際は、実技というより、写真問題の筆記です。
目の前のスクリーンに写真が映写されます。
問題数は、約35問程度出題されます。(席によって見やすい見づらい等があるかもしれません。そこは、運です。)
30問分は、細胞を答える問題
5問分は、疾患を答える問題
2周、写真のスライドが時間によって、流れていきます。
1週目:30問分は、1問あたり、約40秒。5問分は、1問あたり、約60秒。
2週目:30問分は、1問あたり、約20秒。5問分は、1問あたり、約30秒。
少しでも迷ってしまうと、問題が次々に変わって今うので、1周目でうまくいかなかった問題は、いさぎよく諦め、2周目で逃さないようにしましょう。
問題は、末梢血とマルク(骨髄)の代表的な写真が出されます。
FAB分類を理解していないと解けない問題もあるようです。
病院によっては、末梢血しか取り扱っていない場合もあるかと思います。しっかりマルクの分野も勉強しておいてください。
〇 二日目:実技試験
二日目は、実際に自分の手技を見てもらう実技試験になります。
● 実技試験(血球数検査)
【実技試験】
血球算定では、マイクロピペットと、ビルケルチュルク計算盤を使用します。
違う計算盤を使用している場合は、ビルケルチュルク計算盤の使用方法も確認しておいてください。
血液算定してから、自動分析装置に実際に血液をかけます。
実際のカウントと違い、自動分析機の結果とWBCの結果に解離が出る場合があったり、WBCのカウントが表記されないようになっていることがあるようです。
実際にカウントした数字と違っても、動揺しないでください。書き直しはNGです。
そして、電卓の持ち込みも許可されております。
その結果から、MCV、MCH、MCHCの計算などもできるよう、勉強しておいてください。
実際の実技になりますので、この実技試験では、口頭試問があります。
【口頭試問:例題】
- WBCのカウントが解離した場合の原因。
- 解離した場合の対応方法(再検査、塗抹標本作成など)
- 自動分析機にかけた結果についての見解(PLTが低値だった場合、なぜそうなったか。など)
- 血小板凝集や、血小板偽高値について
- MCHCが異常高値の時の対象方法
人によって、質問は様々なようで、全員に同じ質問しているかは、限らないようです。
★ Point
記載する際の、単位などを間違えないようにしてください。
● 実技試験(採血手技、血液塗抹標本作成と染色)
【実技試験】
【採血手技】
採血シュミレーターを使用します。(作り物の腕に、血管が通っている採血練習用の腕です。)
採血管が何種類か置いてあり、例えば「血算の採血管を選んでください。」と言われる。
採血方法は、真空管とシリンジが当時は用意されており、好きな方を選択したようです。
★ Point
採血手技の際は、接遇なども見られます。
名前や生年月日の確認。指先のしびれなどの確認もしてあげてください。
【血液塗抹標本作成】
当日は血液塗抹標本を作製するための引きガラスは、各自の使い慣れたものを持参してOKとされています。
チャンスは2枚。追加で塗抹を作成する場合は、減点対象とのことです。
緊急検査士の試験より、塗抹の出来の評価は厳しいそうです。
そのスライドを用いて、ライト・ギムザ染色をします。
きっちり手順を確認しておいてください。
★ Point
何種類かのpHの緩衝液がおいてあるようです。(いじわるー。)使用する試薬の種類も含め、確認しておいてください。
染色中に口頭試問があるようです。
【口頭試問:例題】
- 採血時の採血管の順番。(採血法ガイドラインにしたがった方法を伝える)
- ALP(アルカリフォスファターゼ)染色の臨床的意義や染色態度
- PAS染色の臨床的意義や染色態度
- エステラーゼ染色の臨床的意義や染色態度
● 実技試験(凝固線溶検査)
【実技試験】
プロトロンビン(PT)時間の用手法
インキュベーター、試験管、試薬、血漿が用意されています。
PTは2回測定可能とのことです。3回目は減点対象。
タイマーやストップウォッチの持参可能です。
★ Point
インキュベートする作業を忘れないようにしてください。
PT時間は小数点第1位まで記載が必要であれば、そこまできっちり記載してください。
試験管も数種類用意されているようです。使用する内径も確認しておいてください。
【口頭試問:例題】
- PT試験において、使用している試薬の名前
- DICについて(正式名称、臨床的意義など)
- APTTの意義、延長する疾患
- クロスミキシングテストについての臨床的意義、曲線について
- ループスアンチコアグラントとは
- 線溶系の機序について
〇 実技試験 持ち物注意点
わざわざ、
「当日は血液塗抹標本を作製するための引きガラスは各自の使い慣れたものを持参する。タイマー、ストップォッチ、電卓、手袋の持込みは可能。」
と記載があります。
つまり、「持っていきなさい。」ということです。
- 自作の引きガラス(本番は緊張します。使い慣れたものを準備して下さい。)
- ストップウォッチ(凝固の用手法の場合は、ストップウォッチがいいかと思います。)
タイマーは使いづらいです。
シチズン Q&Q ストップウォッチ スプリット計測 カウントダウンタイマー 付き HS47-001
それなりに、安価で押しやすく、壊れにくいです。
手袋で使うし、あまり高いものは嫌ですよね。
- タイマー(凝固のストップウォッチを代用してもいいと思います。)
タニタ タイマー 大画面 100分 ホワイト TD-384 WH でか見えタイマー
安いので十分です。
- 電卓(計算問題で使用します。暗算できる人は、いらないかも。)
白衣の横のポケットに入るくらいのサイズで、それなりに押しやすければ、それでよし。
- 手袋(使い捨て)
使い捨て手袋 ニトリルグローブ ホワイト 粉なし(サイズ:M)100枚入り 病院採用商品
手袋無しは臨床検査技師として、論外です。
〇 二級検査士の過去問対策
1日目に行われている、選択式マークシートの筆記試験の内容は、過去問が本として日本臨床検査同学院から販売されています。
上記の本のうち、二級検査士・緊急検査士 資格認定試験問題集は、
- 「試験問題集8年分 2010-2017年版」
B5版 解説無し(解答のみ) 価格:4,620円
- 「試験問題集4年分 2014-2017年版」
A4版 解説あり 価格:4,620円
2種類の問題集があります。好きな方でいいと思います。
- 「1号血液学テキスト」
2019年に第3版として改訂されています。
同学院が出しておりますので、参考になるかと思います。
他にも、血液形態を勉強するのには、
こちらを使用して勉強している方もおりました。
― 二級検査士を受けた友人の感想 ―
「難しい。」
「緊張した。」
と言っていました。
そりゃそうですよね。
実技もあるし、精神共に疲労困憊です。
そして、実は、二級検査士と緊急検査士は併願できます。
体力、精神力のある方は、ぜひ、併願して受験してみてはいかがでしょうか。
わたしは、現在、血液を専門にはしておりませんので、血液の二級検査士を受けることは無いんじゃないかなー。
でも、循環器生理学、輸血は受けてみようかなー。
とも、思います。
とはいえ、試験は体力使いますからねー。現在、ほぼ試験を毎年受けてて、病院の七夕イベントで必ず
「○○に合格しますように。」って書くんですよね。
緊急検査士、心電図検定2級、1級、超音波検査士 etc・・・。
織姫様と彦星様には、毎年感謝しております。
では、アディオス。