超音波検査というものをご存じですか。
超音波検査を実施できる資格は様々ですが、超音波検査士といった認定を取得することもできます。
超音波検査士を取得するためには、「基礎試験」「臨床試験」の二種類あります。今回は「筆記試験(臨床編)」と書類作成についてお話したいと思います。
― 超音波検査士の試験内容とは(臨床編) ―
わたくし、無事、体表臓器の超音波検査士の試験を合格致しました!!
来年は基礎試験免除となりますので、来年は他領域を受けようと思います。
ということで、今回、基礎編と体表臓器をまとめました。
基礎編の問題の解説はよければこちらを参考にしてみてください。
ここのページでは、臨床編と試験内容と、勉強方法、書類作成のポイントなどをまとめました。
【臨床編の問題】について、結論からいいますと、
〇 とにかくたくさん画像をみるべし。本を熟読するべし。です。
【臨床編の書類作成】の結論は、
〇 珍しい症例ではなく、典型症例を使うべし。です。
○ 超音波検査士 試験問題 臨床編(体表臓器)ポイント
2019年度体表臓器の臨床問題の出題領域は書類審査と同じです。
①乳腺疾患 ②甲状腺疾患 ③副甲状腺(上皮小体) ④リンパ節疾患 ⑤体表臓器(耳下腺・顎下腺、皮膚・皮下軟部組織、関節・骨・筋肉組織)
こちらは、体表臓器受験する際、書類審査のための疾患コードとなります。
つまり、上記の内容から問題が出題されます。以下、試験問題(臨床編)のポイントになります。
● 臨床編 全体のポイント
・上記の①~⑤までは、バラバラの順番で出題されます。
割合の印象としては、
乳腺:甲状腺:その他=3.3:2.5:4.2
のような印象です。
出題数としては、「予想より、乳腺が少ない。」「乳腺よりも甲状腺は少ない。」「その他の内容が意外と多い。」という印象でした。
臨床編は画像問題が占めるため、基礎編よりも問題内容の参考にはしづらいかもしれませんが、いくつかポイントをまとめました。
・問題は基本的に画像問題が大半を占めています。
・乳腺の問題にはエラスト画像が多くあります。(自施設にて、エラストを使用しない施設は、改めて勉強しておいた方が良いです。)
・甲状腺の問題はカラーの画像が多くあります。
・今回の試験は解剖問題は出題されませんでした。
● 臨床編 領域ごとのポイント
覚えている範囲内ですが、参考になれば幸いです。
【乳腺疾患】
- 過誤腫の画像問題
- 乳がんのリスク(正解 2つ選択)
①家族歴 ②大豆食品の摂取 ③乳製品の摂取 ④低身長 ⑤高濃度乳腺
- 悪性腫瘍の問題(エラストあり)
3問程度あります。
疾患を問う問題、画像から読み取れるエコーの特徴を選択することもあります。悪性のエラスト画像、良性のエラスト画像も勉強しておくといいです。
- エラストとは?
エラストは歪みがあると悪性か、良性か?
- 乳腺内の嚢胞(画像あり)アーチファクトはなにか。(基礎のような問題)
回答:多重反射
【甲状腺】
- 甲状腺腫瘍の問題(カラーあり)
疾患を問う問題、画像から読み取れるエコーの特徴を選択することもあります。
- 無痛性甲状腺炎の検査項目について
選択肢:①CRPは? ②WBCは? ③TSHは? ④FT3は? ⑤抗レセプター抗体は?
- 未分化癌についての文章問題
【その他】
- ワルチン腫瘤の好発部位
- シェーグレン症候群について
- 血栓の画像問題(わたしは、血管領域だと思っていたので、血栓はノータッチでした。)
- 副甲状腺癌、副甲状腺腫瘍
- 耳下腺とアミラーゼとの関係について
- 粉瘤 画像問題
- 浮腫の画像問題
基礎編に比べ、臨床問題は画像問題が多いため、参考程度にしかならないかと思います。
● 臨床編 勉強法
筆記試験の臨床編で大切なことは、
〇 実際の画像に触れること、
〇 本を熟読すること
上記が大切です。
体表臓器のみに特化した問題集の本はありませんでした。
わたしが使用した問題集は、超音波検査士・超音波指導検査士認定試験問題集です。
超音波検査士・超音波指導検査士認定試験問題集―動画CD‐ROM付 (第4版)
上記の体表領域を使用して勉強しました。2019年現在は第4版が最新版です。また、先輩の持っている問題集も借りて、第2版~第4版を勉強しました。
正直、基礎編よりも問題集は役には立ちませんでした。
2~3割の点数と、知識の定着にはいいですが、基礎編と違い、問題集をやっているだけでは合格はできないと思います。
確実に取りに行ける項目も増えるので、やって損はないと思いますが、試験を経験してみて一番の勉強法は
自施設の臨床現場の画像の確認と、体表臓器専門の本の熟読
上記2点です。
わたしは、乳腺、甲状腺以外の分野を勉強するにあたり、
自施設にあった「一番薄い」体表臓器の本を熟読することにしました。
使用した本は、体表臓器超音波ガイドブック:皮膚・皮下・血管・神経・筋です。
体表臓器超音波診断ガイドブック: 皮膚・皮下・血管・神経・筋
※乳腺領域、甲状腺領域は違う本で勉強しました。
※乳腺と甲状腺は自施設で症例がいくつかあるため、体表臓器の超音波を開始するにあたり、勉強しておかなければならなかったため、自分自身で別の本を持っておりました。
乳腺:乳房アトラス【第3版】
甲状腺:甲状腺・唾液腺アトラス
とにかく小さくて、薄い本が欲しかったのが、バレバレですね。笑
施設によって、体表臓器は特化している分野もあれば、ある分野においてはあまり症例が少ない施設もあると思います。
臨床の現場で多く触れている分野は、恐らく解けます。問題点は、自施設であまり触れていない分野です。その分野をどのように勉強するかがポイントです。
上記以外にも、
自施設で実施している生理機能分野の画像サーベイを使い、体表臓器の画像を勉強しました。
少しだけ載っていた画像として、超音波検査士を受験する際に会員になっている可能性の高い「一般法人社団 日本超音波検査学会」こちらにeラーニングがあります。こちらも参考にしました。
― 超音波検査士 書類審査 ―
〇 超音波検査士試験 書類作成ポイント
超音波検査士を受験する際に、事前に書類を提出します。2019年の提出期間は下記でした。
オンライン申し込み期間:2019年5月20日~2019年7月12日
書類提出期間:2019年6月1日~2019年7月31日
受験料:日本超音波医学会 20,000円
日本超音波検査学会会員 22,000円
※受験の際は必ず、日本超音波医学会のページを確認してください。
書類審査に用意するものは色々ありますが、その中でも、「超音波検査士認定試験受験者推薦状」を得るために記載する
「超音波検査実績」の作成が必要になります。
作成するのに、ある程度時間を要するものになります。(わたしは、取り組んでから完成までに2~3か月ほどかかりました。)提出期間までにしっかり準備しておいてください。
2019年からの変更点
・健診領域の書類内容が変更されたこと。
・鉛筆書きが許可されたこと。(2018年はボールペン記載でした。)
上記は大きな変更点になるようです。特に健診領域を受ける方は確認が必要になります。
また、書類の再提出は不可となっており、内容になっては減点対象もあります。受験する際は、その年の超音波検査実績の手引きを必ず確認してください。
減点対象(大まかな点)
・個人情報の消去漏れ(特に注意)
・診断と異なる所見の記載
・間違った用語の使用
・誤字脱字
※違反の注意点としては、同一人物で症例を分けることは出来なかったり、自分自身が検査した症例に限ります。
詳細は必ず確認してください。
合否判定は、上記の書類審査、筆記試験(基礎領域)、筆記試験(臨床領域)各々の正答率がすべて60%以上とされています。書類審査で60%以下とならないよう注意してください。
自身で書類の見直しをした際に気づいたミスは「検査値の単位」でした。わたしは、先輩に見直しを手伝ってもらいました。違う目でも書類の確認してもらった方がいいかと思います。
― 応援しています! ―
今回は、臨床編を主にお話しました。超音波検査士の試験には、基礎編と臨床編と2種類の試験があります。
概要、試験当日、筆記試験(基礎編)については、
で確認してみてください。
基礎編でもお伝えしましたが、試験が終わった後の達成感は最高です。受験する皆さん、頑張ってください。
臨床の勉強は、特に現場でも直結する内容になります。わたしは、今まで身に付けた知識を整理するいい機会になりました。受験する方は、ぜひ頑張ってください。