臨床検査技師としてこのブログを書いていますが、以前は、治験コーディネーターという仕事をしていました。
ここで、治験コーディネーターという仕事について記載したいと思います。
― リアルな経験をもとに -
ここでは、リアルなわたしの経験談を記載します。
結論からいいますと。わたしにとって治験コーディネーターは
〇 やりがいはあるが、残業が辛い。
〇 スケジュール管理は管理方法によって、良いことも悪いことも。
〇 給料は臨床検査技師より良い。
だと思います。
〇 治験とは
治験とは、発見された物質を試験管内や動物実験において、効果を認められ、「くすりの候補」とされたものを、健康な人や患者さんの協力で効果と安全性を調べることです。
厚生労働省より「治験とは」
これは、治験コーディネーターとして就職した際に、患者さんにたくさん説明する内容です。治験コーディーネーターとして就職する際は、治験というものを知っておいた方が良いです。
治験には、第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相というものがあります。私自身が担当した治験は第Ⅱ相、第Ⅲ相でした。
〇 治験コーディネーターの業務内容
新薬開発のために病院が治験を行う際、業務が円滑に進むように、業務をサポートするお仕事です。
新薬の開発のために、製薬会社が「おくすりの候補」を挙げ、第Ⅰ相での治験にて、健康な方々で治験を実施します。そこで更に安全性が確認された「おくすりの候補」を第Ⅱ相での治験から患者さんに使用して頂き、「お薬の効果」、更に「追加の安全性」というものを確認していきます。
そこから第Ⅱ相の始まりです。わたしが経験した治験は第Ⅱ相からなのでここから説明します。
・ 治験開始まで(第Ⅱ相~)
治験を開始するにあたり、様々な準備が必要になります。
治験が始まると勤めている会社宛に、製薬会社等から依頼が入ります。その治験を病院が実施するかを確認し、実施すると決まれば、担当する医師が円滑に業務が進められるよう、「治験についての説明会」が行われます。
治験は、安全性や効果を確認するために、厳しいルールのもとに行われます。
そのため、ただお薬を飲んで感想を聞いたりするだけではなく、患者さんの来院日が決まっていたり、お薬の飲み方が決まっていたり、検査の方法が決まっていたり、たくさんのルールがあります。
それをすべて熟知することが医師だけでは難しいため、治験コーディーネーターが熟知します。治験を担当する医者の秘書です。
ルールに沿わない治験をしてしまった場合は、そのデータが使えないことになるため、患者さん、医師、製薬会社、自社へ影響が及びます。
治験が開始するまでは、開始する治験内容の熟知が大切です。
・ 治験開始まで(書類整理)
治験開始にあたり、書類整理を行います。
データの管理を行うために、普段の診療より膨大なデータを管理しなければなりません。製薬会社から求められているデータを管理するための書類整理を行います。
・ 治験開始~治験終了まで
治験が動き出すと、治験に参加してくれる患者さんに担当する医師が声をかけてくれます。
今回行う治験について、医師が説明をし、足りない補足部分を治験コーディネーターが説明します。来院に関するスケジュールの説明や、患者さんが自宅に持て返って頂く資料の説明、協力費の提供などが主になります。治験が無事開始されましたら、来院スケジュールの管理、服薬状況の確認、協力費の提供が主になります。
〇 治験コーディネーター やりがい
わたしが感じていた治験コーディネーターのやりがいは、
・患者、医師、医療機関スタッフとのコミュニケーションの多さ
全員を治験に協力してもらうようにするには、コミュニケーションが非常に大切です。わたしは、人と関わることが好きだったため、たくさんの人と関わり、協力しながら成し遂げる仕事にやりがいを感じました。担当している医師は忙しいため、治験コーディネーターには相談できる患者さんも居ました。
会社に戻れば会社の上司や同僚と相談しながら、担当する治験の相談をし、病院に行けば、病院の医師、医療スタッフ、患者さんがいます。担当する病院は一つではないため、様々な方々と出会い協力し合いながら治験を行います。
時には書類整理のため、もくもくと1人で仕事することもあります。
「広く・浅く、全員と仲良く。」
その人間関係が自分にはとても向いていました。そして、尊敬する上司も会社に居て、相談しやすい環境作りがされていたからだと思います。
〇 治験コーディネーター 辛い
わたしが感じた治験コーディネーターの辛いところは、
・時間外の連絡が多いところ。
対峙したコミュニケーションは得意だったのですが、メールなどを使ったマメな連絡が基本的に苦手でした。
後日、または時間外にくる患者さんからのスケジュール調整や相談メールなどがとにかく苦手でした。
今思えば、仲良くなりすぎたのかもしれません。
しかし、自分の性格上、それを無下にすることもできず、メリハリをつけることができなくなってしましました。
気が付けば、携帯の繋がらない地下に行ったり、海外旅行に行くことができなくなりました。自分では、気づいていませんでしたが、結構ストレスになっていたようです。
〇 治験コーディネーター お給料
わたしは、企業に就職していたため、企業によってお給料はまちまちかと思いますが、新卒時の治験コーディネーターのお給料と、現在働いている臨床検査技師のお給料を比べても
新卒の治験コーディネーター > 3年間勤務の臨床検査技師 です。
ボーナスも明らかに治験コーディネーターの方が良いです。
こう記事を改めて書いてみると、臨床検査技師、お給料、安いね・・・。悲しい。
企業に属する治験コーディネーターは臨床検査技師と比べ、プロジェクト担当になったり、管理職が多いため、役職が上がれば上がるほど臨床検査技師よりお給料が増えやすい傾向があります。
〇 治験コーディネーター 残業
残業は正直・・・。あります。担当する治験に動きが何もないと時は、かなり暇になるようですが、わたしは、とにかくずっと残業でした。
担当する治験の多さや、患者さんの多さによって、残業は人によりバラつきがあります。
臨床検査技師であれば、忙しい時は全体が忙しくなるかと思いますが、治験コーディネーターは人によって忙しさにバラつきが発生するため、
「あの人、暇そうにしてるな。」とか「うわ、あの人、めっちゃ忙しそう・・・。まだ会社残ってるよ。」みたいな差が生まれます。
そのため、繁忙期などにもよりますが、残業は覚悟しておいた方がいいと思います。
夜勤に関しては、わたしや、わたしの周りではありませんでしたが、担当する治験によっては、夜も担当しなければならない場合は、夜勤も発生する可能性もあります。
〇 勤務時間(フレックスタイム)
治験コーディネーターに限った話ではありませんが、わたしは「フレックスタイム」という働き方をしていました。
この働き方、臨床検査技師には、ほとんど縁がない働き方だと思います。笑
これ、わたし、最高でした。
「月に〇時間以上働く」
これがルールだったため、何時に出勤してもいいし、何時に退社してもいいんです。
もちろん、患者のスケジュール関係や病院関係もあるので、ずっと好きなように働けるわけではありませんでしたが、わたしが主に担当している病院すべてが「水曜休み」でした。
そこで、「水曜日は書類整理の日」と決めており、水曜日は会社に出向き、印刷物の整理などをするのですが、わたし、朝が苦手でした。
水曜日は目覚ましをかけず
「起きたら会社に行く。」
というスタイルを取っていました。これを1年目の後半からしていたかと思うと、恐ろしいです。笑
そのため、会社の人たちがお昼ご飯を食べている時に出社することもありました。その行為に全く違和感を感じない仕事が、治験コーディネーターでした。
AM:病院 PM:会社 の勤務状況の人や、会社自体に出勤できず、病院との往復しかできない人。全員が様々な働き方をしていたため、誰も午後出社について、気にしませんでしたし、上司も知ってました。
また、敢えて明け方に勤務して、午前に仕事を終わらし、午後を自由時間にする有意義な過ごし方をしている上司もいまいた。わたしにはできませんでしたが、こうなりなたかったですね。
この「フレックスタイム」の出勤方法は満員電車も避けれますし、人によっては、かなり充実した生活を送れます。
「コア・タイム」というものを設けたうえで、「コア・タイム」+「フレックスタイム」という勤務体系をとっている会社もあります。
「コア・タイム」とは、「何時出社、何時退社でもいいけど、10:00~13:00の間は出勤しといてね。」といったような感じです。ぜひ、興味を持った方は調べてみてください。
― 他業種も悪くない -
臨床検査技師の資格を取得して、ずっと病院勤務していると、臨床検査技師として他業種の仕事をした人と出会う機会は少ないと思います。
ここでは、他業種の話を聞く機会を1つ得たと思って、見ていただき、他の道を選択しても悪くない。そう思っていただければ、いいなと思います。
自論ですけど、どんな仕事も、やりがいがあって、楽しいところがあると思う。
いろんな理由があると思うけど。だから、その仕事の存在が継続しているんじゃないかなぁと。